2014年10月26日日曜日

常葉大学 解雇事件 常葉学園理事長 木宮健二に対する申し入れ

2014年10月3日
学校法人 常葉学園
理事長 木宮 健二 殿
大学オンブズマン 理事会
巻口氏に対する懲戒処分に関して(申し入れ)


 当オンブズマンはこの間、繰り返し貴法人が設置する学校における不正について問題を指摘してきた。あわせて、巻口氏(常葉大学短期大学部)に対する不当な懲戒処分を行わないよう求めてきた。しかし、常葉学園懲戒委員会「審査説明書」7月28日交付の書面によれば「懲戒解雇」が相当とされている。
 繰り返すまでもないが、巻口氏の内部告発(告訴)は公益通報者保護制度によって保護されるべきものである。したがって、貴法人がこのまま巻口氏に対して懲戒処分を行ったならば、それは教育・研究機関としての大学の自殺行為であり、「大学の社会的責任」(USR)の放棄と言わざるをえない。
 貴法人の常軌を逸した行動は既に全国の大学関係者に広く知られている。当オンブズマンは、10月17日に予定されている巻口氏の弁明の正当性を認め、貴法人が巻口氏に対する懲戒処分を行わないよう強く求める。
仮に懲戒処分が強行されるならば、当オンブズマンは引き続きこうした事態を広く社会および世論に訴えていく活動を一層進めていく。あわせて、関係省庁ならびに国会において本件の問題を取り上げていただくよう要請する所存である。
以上
<連絡先>
大学オンブズマン 事務所
〒600-8458 京都市下京区油小路通り松原下る樋口町308 京都社会文化センター内
電話:075(741)6051
e-mail:uniomb@yahoo.co.jp

2014年5月26日月曜日

学校法人常葉学園理事長あての「申し入れ」


大学オンブズマン理事会は、2014年5月24日付で以下のような「申し入れを」を行った。
なお、本書面の公表(ウェブサイトへのアップ)に際して、プライバシー保護のため一部、記述を変更している。


2014524
学校法人 常葉学園
理事長   木宮 健二  殿
大学オンブズマン 理事会

学校法人常葉学園が設置した懲戒委員会に関して(申し入れ)

 201459日付で、常葉学園本部常葉学園懲戒委員会は委員長名で、巻口氏宛てに「常葉学園懲戒委員会による審査について(通知)」なる書面を送付してきた。それによると同年423日付で懲戒委員会が設置され、懲戒委員会による審査を開始するとのことである。委員会が審査の対象とするのは、巻口氏が「……静岡地方検察庁に告訴(結果は不起訴処分)した行為」とされている
 当オンブズマンとしては、以下の点で懲戒委員会には重大な問題点があると考える。貴法人が適切な是正措置を取ることを強く求める。



1.書面を見る限りでは「告訴」そのものを処分の対象としているとしか理解できない。そもそも告訴は結果として「不起訴処分」となったとしても市民的権利の正当な行使であり、告訴の行為そのものを処分の対象とすることは明らかな人権侵害である。したがって、何が懲戒処分の審査の対象とされているのかが明確にされる必要がある。

2.貴法人が制定したとする「教職員の懲戒処分の手続きに関する規程」によれば、第3条において「調査」について規定している。しかし、巻口氏に対する「調査」はいっさい行われないまま「審査」が行われようとしている。また、「調査」結果の内容はいっさい開示されていない。このように極めてずさんな手続きは巻口氏の人権を著しく侵害している。「調査」内容の開示を求める。

3.静岡地方検察庁による不起訴処分は事実であるが、現時点で巻口氏を懲戒の審査の対象とすること自体、「常葉学園短大における私学経常費補助金の不正受給」を内部告発した同氏に対する報復であると見做さざるを得ない。巻口氏の内部告発(告訴)は公益通報者保護制度によって保護されるべきものである。

4.懲戒を目的としたこのような委員会の場に、「審査」と称して、合法的な公益通報者である巻口氏の出席を強要しているこの事態は、学校法人常葉学園本部の社会に対する背信行為であり極めて重大である。それは教育・研究機関としての大学の自殺行為であり、「大学の社会的責任」(USR)の放棄と言わざるをえない。

付記:学校法人常葉学園(木宮健二 理事長)は、巻口氏が告訴・告発した内容に対して一片の反省も示さないばかりか、今回、このような内部告発者(公益通報者)への報復的な措置を行おうとしている。全く常軌を逸していると言わざるを得ない。懲戒されるべきは理事長はじめとした学園本部役員である。大学オンブズマンは、こうした事態を広く社会および世論に訴えていく活動を一層進めていく。

以上


<連絡先>
大学オンブズマン 事務所
600-8458 京都市下京区油小路通り松原下る樋口町308 京都社会文化センター内
電話:0757416051

2014年3月17日月曜日

「公益通報事案について」に関する共同声明文


 

                    2014310

                    常葉大学短期大学部准教授・巻口勇一郎

大学オンブズマン理事会

 

 201435日付けで出された公益通報者である常葉大学短期大学部准教授・巻口勇一郎宛ての学校法人常葉学園・木宮健二理事長からの「公益通報事案について」の書面に関して、以下、声明する。

 

1)この「公益通報事案について」の書面は、理事長および理事会としての責任(経営責任、任命責任、監督責任、善管注意義務)に全く触れず、現場教職員や部局に責任を転嫁する不当な内容である。少なくとも経営最高責任者としての理事長の謝罪が必要である。今回の不正受給を他人事のように捉えている内容はきわめて不見識である。当該教授が4年間授業をやっていないということを知らなかったでは済まされない。2001(平成13)度は、4月以降学生に配布されたシラバス・時間割書類の上でも当該教授は授業を担当していない。学園本部がこうした「同族教授」の勤務予定について知らないということなどはあり得ず、知り得べき立場にいたことは確かである。研究業績評価に関する適否も不明であり、少なくとも授業勤務実態のない人物を教授として発令し続けた法人執行部の責任は重い。理事長および理事の責任は重大であると言わざるを得ない。現理事長や理事(特に「同族理事」)の入れ替え、抜本的な執行体制の刷新が不可欠である。

2)この「公益通報事案について」の書面において、「1 調査結果について」と「2 是正措置について」が述べられているが、こうした事態が生じた理由・背景についても調査した公益通報調査委員会報告書の内容を公表すべきである。仮に、常葉学園理事長および理事会が本不正受給について知らなかったとすれば、管理職を含め多くの教職員が、助手が授業を行っていたことを知っていたのであり、それをなぜ多くの教職員が問題視すらしなかったのか、あるいはおかしいと思いながらも言わずに黙っていたのか。この原因は「同族経営」による上意下達の風土、「同族」が多すぎて自由闊達な議論が阻害され、組織の内部監査機能が低下している学園の特殊な環境にある。「同族教授」ははじめから授業をやらないことになっていた、学園側もそうしたことを知って、理解してやっていたという認識であったために、「同族」の特権について敢えて問題視・進言すらしなかった教職員もいる。4年間授業時間になっても事務室から教室へ出講しなかったことに周囲の事務職員も当然気づいていた。「同族」と「非同族」の間のコミュニケーションの不均衡を是正するために、「同族」(やその被推薦者)ばかりが不自然に高い確率で採用され昇進している現状を改め、公平公正な採用・昇進制度を確立し、職場風土の改革に努める必要がある。常葉大学短期大学部では次期事務部長が「同族」であるなど、不正発覚の後にも短期大学部の要職に新たに「同族」が就くなどし、同族教職員の数が増えている。特に、補助金申請に当たる理事長、短大学長と事務部長の全てが「同族」であるという点では、むしろ「同族経営」が「強化」されている。こうした現状から、学園の記者会見に反して、具体的に再発予防策がとられたとは言い難い。

3)書面の「2 是正措置について」において「教育活動及び大学運営に際して、コンプライアンスを着実に実行」すると述べているが、今後、教授会の健全な機能の発揮、透明性が高く適正な教職員人事をはじめとした学内諸手続き等の実現を具体的に進めていくことを求める。

4)常葉大学短期大学部教授会では未だ補助金不正問題の報告がなく、公金不正についての認識が甘く、内部監査機能が発揮されているとは言えない可能性がある。また一部では、授業を担当しなかった当該教授への処分等は全くなく、他方でシラバスにない教員に授業を任せていたとして現場関係者の処分を検討すると報道されている。理事会の経営責任、任命責任、監督責任、善管注意義務を不問とし、現場関係者を懲戒すると言うのは、あまりにも無責任で差別的・前近代的な姿勢と言わざるをえない。

5)今回の公益通報者である常葉大学短期大学部准教授・巻口勇一郎および大学オンブズマンは、学校法人常葉学園公益通報調査委員会の報告書(2013516日付け)で述べられている「財務、人事、労務などの面での透明性の確保が求められている」と「自由闊達に意見交換できる風土の醸成に向けてさらなる取り組みの推進に期待したい」という指摘を受けとめ、その実現に努めていきたい。また、大学オンブズマンは引き続き常葉大学の法人運営・大学運営に対する監視活動を行っていく。

 

以上